突然の災害時に命を守るためには、日ごろから防災への意識を高く持っておかなくてはなりません。
特に高齢者は、体力的にも不利な場合が多いので、出来るだけの防災対策はしておきましょう。
防災の日を前に、一人暮らしの高齢者はもちろん、高齢者と同居している家庭も、まだ50代だからと大丈夫だと思っている方も、もう一度防災への備えをチェックしてみてください。
防災の日を前に、今すぐにできる防災対策!自宅を安全に
今すぐにできる防災対策としてまずできることは、自宅内のチェックです。
大きな地震では、家具が転倒して怪我をしたり、命を失ったりという被害が少なくありません。 家自体は無事だったにもかかわらず、屋内が危険な状態にならないような防災対策をしましょう。
家具を固定する
「地震の時に家具は倒れてくるもの」ということを前提に、大きな家具はもちろん、小さな家具・家電にも転倒防止の対策をします。
タンスや本棚などの大型の家具は、L字型金具や突っ張り棒でしっかりと固定しましょう。
テレビや電子レンジ、小型の家具なら、粘着マットやストッパーなどを敷いて転倒防止の対策をします。
キャスターのついている家具は、必ず固定しておきましょう。
食器棚や本棚の扉は、地震の揺れで開いてしまうかもしれません。
食器類が落下して割れると非難するときに怪我をする可能性がありますので、戸棚にはストッパーをつけておきましょう。
忘れがちなのが、照明器具です。
照明器具が吊り下げ式の場合は、地震の揺れで振り回され、落ちてしまうこともあります。
特にシャンデリアなどは、凶器にもなりかねません。 出来れば、軽い素材のシーリングライトに付け替えておきましょう。
荷物の整理
高齢者の中には、必要以外に多くの荷物を持っている場合があります。
部屋の中を見渡して、普段使っていない物があれば、これを機会に処分するなり、押し入れにしまうなりしてください。
タンスの上などに、大きな衣類箱や荷物を置いていませんか?
タンスを固定していても、その上の荷物が落下すれば大怪我をしかねません。
重い荷物は、邪魔にならない下の方に移動しましょう。
終活の一環として、荷物の整理をしても良いでしょう。
普段の暮らしから、シンプルライフでいれば、避難するときも対応しやすいですよ。
出入り口の確保
災害時にすぐに避難できるように、廊下、部屋の出入り口、玄関には、不要なものを置かないようにしましょう。
現在の家具の配置が避難経路をふさいでいないかもチェックしてみてください。
もし、家具が転倒したときに、出入り口をふさぐようなら、移動させましょう。
移動させるときは、家族などに手伝ってもらうなど、あなた自身に怪我のないように気を付けてください。
家の耐震
家の耐震を確認するには、自治体の無料耐震診断が利用できます。
費用は掛かりますが、戸建ての場合は確認しておくほうが良いでしょう。
高齢者の場合は、階段・玄関の手すりなど安全な非難ができるようにリフォームが必要な時もあります。
国や自治体による耐震リフォームや高齢者対象の住宅リフォームへの補助金もありますので、必要に応じて利用しましょう。
(補助金は、自治体によって内容が異なりますので、利用をお考えの場合はお住まいの自治体にお問い合わせください)
高齢者ならではの避難経路と場所、安否確認方法
災害が起こり、自宅にいることが危険になったときには、安全な避難場所へ移動しなくてはいけません。 どのような事態が起こっても、安全に非難するためにあなたが住んでいる地域の避難場所と、自宅からの経路の確認をしておきましょう。
ハザードマップの確認
まずは、ハザードマップで自宅周辺の状況を確認します。
ハザードマップは、地域で配布されるものや自治体のホームページで確認ができます。
ハザードマップには、水害・土砂災害・震災の被害予測や避難予測が掲載されていますので、自宅のある地域では、どのような対策が必要なのか、家族と話し合って、普段から意識しておきましょう。
避難経路の確認
避難経路は、どんな事態にも対応できるように複数のルートを準備し、家族と共有してください。
実際に避難経路を歩いてみて、どこかに危険な場所はないか、注意をしなければならないところをチェックすることも大切です。
家族がいる場合は、一緒にチェックする方が、より安全な避難経路が確保できます。
防災訓練への参加
地域で行われる防災訓練にも積極的に参加してください。
いざというとき、一度でも訓練をしていることが、パニック状態になることを防いでくれるというメリットもあります。
非難するときに最も危険なのは、パニックになることです。
普段から災害を意識していれば、避難行動も落ち着いて行えるのではないでしょうか。
また、防災訓練を通じて、地域の人とのつながりも生まれます。
自分が住んでいる地域にはどんな人がいて、誰が責任者なのか、同じような高齢者は、どのくらい住んでいるのか、などを知っていれば、助け合うこともできます。
避難情報の入手方法
特に一人暮らしの高齢者の場合は、避難のタイミングが遅れ、被害に遭うことがあります。
避難情報や災害情報は、複数のメディアで確認するようにしましょう。
テレビやラジオはもちろん、停電したときを想定して、携帯電話での情報確認もできるようにしておきましょう。
SNSでも国が災害情報を発信する公式アカウントがありますので、フォローしておくと安心です。
スマホのアプリなどは、日ごろから使い慣れていないと、必要な時に情報が確認できません。
避難訓練と同じように、定期的にアプリを使う練習をしておくことも大切です。
安否確認の方法
家族と同居している高齢者でも、災害時に一人である場合もゼロではありません。
独居高齢者はもちろんですが、同居している場合も緊急時の安否確認をどうするかを家族と決めておきましょう。
メールやLINEのほか、安否情報確認が取れるアプリや災害用伝言ダイヤルなど、日ごろから使いこなせるように練習しておきましょう。
災害時に一人で避難することが難しい方は、避難行動要支援者名簿に登録しておくことをおすすめします。
避難行動要支援者名簿とは、高齢者・障害者・持病のある方・要介護者などを対象に、氏名や連絡先を掲載した自治体のリストです。
警察や消防署も共有し、災害時の安否確認、避難の支援などに利用されています。
高齢者ならではの非常用持ち出し袋の準備
避難が必要となったときや災害後に自宅待機をする場合に必要なのが、持ち出し袋・備蓄品です。
どのような品物を準備すればよいのか、高齢者ならではの持ち出し品や備蓄品にも注目して紹介します。
持ち出し品リスト
- ヘルメット
- 懐中電灯
- 軍手
- マスク
- 消毒薬など衛生用品
- 雨具
- 飲料水・食料品(1~3日分)
- 口腔ケア用品
- メガネ・老眼鏡
- 下着などの着替え
- 携帯電話
- 充電器
- 常備薬
- お薬手帳
- 健康保険証・介護保険証などの写し
- 携帯の杖
- オムツ
- 家族の連絡先
- スリッパ・靴
- 携帯ラジオ
- 現金(1~2万円程)
- 小銭
- 印鑑・通帳・キャッシュカード
- 愛読書など(避難時には時間があり、ついマイナス思考になりがちなので、ストレス発散として)
オムツや老眼鏡、杖などは高齢者ならではのものですね。また補聴器を使っている方は補聴器の電池や、食料品は高齢者でも食べやすい柔らかいものを用意しておくといいかもしれません。
高齢者は一般の方と同じような避難生活を過ごすことが難しい場合があるので、高齢者ならではの生活用品を用意しておくと安心です。
避難時は両手が使える状態にしておいた方が安全ですので、これらの品物は、リュックとショルダーバッグにまとめましょう。
備蓄品リスト
安全に自宅に待機できる場合でも、ライフラインがストップしてしまうと、大変です。
最低3日間は、自宅で待機できるだけの備蓄品は用意しておきましょう。
- 飲食料品(レトルト・缶詰・フリーズドライ食品・乾パン・コーンフレーク・介護食・梅干し・水・野菜ジュース・スポーツドリンク・お菓子など)
- ラップ
- 紙食器
- ポリ袋
- 簡易トイレ
- ペーパー類(トイレットペーパー・ティッシュペーパーなど)
- 常備薬
- 医療機器のバッテリー(定期的な医療機器の点検も忘れずに)
- 携帯ラジオ
- 乾電池
- 携帯充電バッテリー
- 懐中電灯
- カセットコンロ・ガスボンベ
- 歯磨きシート
- 水なしシャンプー
- カート
ローリングストック
ローリングストックとは、日ごろよく食べている食料品で、日持ちのするものを少し余分に購入しておき、賞味期限が早い順に食べて、食べた分だけまた補充するというストックの方法です。
非常食として備蓄している食品が、常に一定量確保でき、また賞味期限も新しい状態で保管できるという利点があります。
非常食・保存食を別の食べ物として考えてしまうと、備蓄する場所が余計に必要になってしまいそうですが、ローリングストックなら、いつものストックが少し増えるだけです。
慣れるまでは、少し面倒ですが、とても効率的な方法ですので、ぜひ実践してください。
まとめ:高齢者は大袈裟なくらいの防災対策でちょうどよい
毎年のように大きな災害が起こる近年、多くの方の防災への意識は大変高くなっています。
しかし、実際に災害に遭ったとき「まさかこんなことになるなんて」「これぐらいなら大丈夫だと思っていた」などという楽観的な意識を持っていた方も少なくありません。
高齢者の場合は特に、俊敏な対応が難しくなっていますので、十分すぎる防災対策を取る必要があります。
家族のため、自分のためにも、防災への意識をより一層高めましょう。
他にも、高齢者のひとり暮らしについて紹介している記事もあります。詳しくはこちら「【50代から考える!】60代や70代から始まるひとり暮らしについて」をご覧ください。