最近なかなか寝付けない、翌朝起きた時になんだかスッキリしない…などしっかり眠れていないと感じることはありませんか?睡眠不足は私たちの心身にあらゆる支障をもたらします。今感じている身体の不調は睡眠不足から来ているかもしれません。
睡眠不足は日々の生活習慣が原因になっていることが多く、その生活習慣を見直せば改善できます。 私たち人間は、人生の3分の1は眠って過ごしていると言われています。今回はそんな身近な習慣である睡眠に注目し、生活習慣の改善や睡眠の質を高める方法などをご紹介します。
寝つきが悪い原因は?
私たちの身体には、夜ほぼ同じ時間に眠くなり、朝同じ時刻に目覚めるという、規則正しい睡眠リズムがあります。いわゆる体内時計と言われるものです。
この体内時計には、脳の松果体(しょうかたい)というところから分泌されるメラトニンというホルモンが関係しています。
このメラトニンは「覚醒」と「睡眠」を切り替え、眠りを誘う作用があります。睡眠ホルモンとも呼ばれています。
メラトニンの分泌には光が大きく影響していて、朝起きた時に太陽の光を浴びると、体内時計からの信号を受けメラトニンの分泌が止まります。そして体内時計の周期がリセットされ、体が活動状態になります。
また、メラトニンは朝に光を浴びた14~16時間後に再び分泌が始まります。メラトニンは、光がないときつまり夜に多く分泌されます。メラトニンが分泌されると、血圧や脈拍、深部体温を下げ眠気を高めるため眠くなるのです。
つまり私たちの身体は、朝に光を浴びれば夜に自然と眠くなるという仕組みになっているのです。
しかし、このメラトニンは10代をピークに、歳をとると共に分泌量が低下しまうことが分かっています。
歳をとると、夜中や朝早くに目が覚めてしまうことが多くなったり、若い頃に比べて寝付きが悪くなるのはこれが原因と考えられます。
また、加齢に加え、眠る前の生活習慣なども睡眠を妨げる原因になっている可能性があります。
皆さんは寝る前に布団の中でスマートフォンを見ることが習慣になっていませんか?このスマートフォンの光が、体内時計を乱す原因になっているのです。たかが小さなスマートフォンの光だと侮ってはいけません。スマートフォンや私たちの身近にある電子機器(液晶テレビ、LEDライト、パソコン、スマートフォン、携帯ゲーム機)から発せられる光にはブルーライトという光が使われています。
このブルーライトは、強いエネルギーを持ち、もはや「小さな太陽」とまで言われています。 寝る前にこのブルーライトを浴びると、その明るい光を昼と勘違いし、体内時計のメラトニンの分泌が抑制されてしまい、眠れなくなると考えられています。
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睡眠不足がもたらす影響
睡眠は身近な習慣であるがゆえに、睡眠不足も日常的なことだと思い、「たかが寝不足…」と軽視してはいけません。睡眠不足は私たちの心身にさまざまな影響をもたらすのです。
●集中力の低下
睡眠不足は、集中力の低下につながってしまいます。夜にしっかり眠れていないと、体内時計が乱れ日中に眠たくなってしまい意識が飛んでしまうことも。
仕事や勉強など集中して行う作業に支障がでてしまったり、乗り物などを運転する人は重大な事故を起こしてしまったりと決して軽視できない問題を引き起こしてしまうおそれがあります。
●肥満になりやすい
睡眠不足になると、カロリーを消費する代謝が清浄に機能せず、脂肪をエネルギーとして消費できなくなるため、体重増加につながってしまいます。また、睡眠不足になると、食欲を刺激するホルモンなどが正常に分泌されず、食欲のコントロールができなくなるため肥満につながってしまいます。肥満は生活習慣病を引き起こす原因にもなってしまうため注意が必要です。
●怒りっぽくなる
睡眠不足が慢性化すると、怒りっぽくなってしまうことがあります。些細なことでイライラしてしまい、家族や友達とのコミュニケーションがとりにくくなってしまうおそれがあります。原因としては、睡眠不足によって交感神経を優位にしてしまい、アドレナリンなどのホルモンが分泌されることによって、肉体を活動的にする以上に攻撃性の増大を招いて怒りっぽくなってしまうことがあげられます。
●ストレスの増大
睡眠不足が続くと、ストレスが増大してしまいます。人間は寝ている間に頭の中の情報を整理していると言われています。そしてストレスも同じように睡眠中に整理されて自然と減っていきます。しかし、睡眠不足によって寝る時間が少なくなってしまうと、ストレスを整理しきれずにどんどん蓄積されていってしまいます。そしてそのストレスのせいで眠りにくくなりまた睡眠不足になってしまう負の連鎖を招いてしまう可能性もあります。
●生活習慣病発症のリスクを高める
睡眠不足が生活習慣病の発症のリスクを高めることがわかってきました。 睡眠不足によって交感神経を優位にしてしまい、血圧の高い状態が続いてしまうため、高血圧症になってしまうと考えられています。
また、睡眠不足はインスリンというホルモンの働きを悪くしてしまい、血糖値のコントロールが上手くできず糖尿病になるリスクを高めることがわかっています。 またこのような糖尿病や高血圧は動脈硬化になるリスクがあるため、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳の血管の疾患になるリスクがあります。
たかが睡眠不足と軽視してしまい放置してしまうと、大きな病気につながってしまう可能性があるので、放置せずに睡眠不足を解消していきましょう。
睡眠の質を高める方法
睡眠の質を高めるには?
幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」
私たちの脳の中では、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が分泌されています。セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれていて、心の安定や安心感、脳を活発にさせる働きがあります。また、睡眠ホルモンと呼ばれているメラトニンの原料であり、睡眠には欠かせない物質です。 セロトニンは朝起きてから分泌されはじめ、夜になると日中に作られたセロトニンをつかいメラトニンが分泌しはじめます。つまり「睡眠ホルモン」のメラトニンをたくさん分泌させるには、日中にセロトニンをたくさん分泌させておくことが重要です。
セロトニンを作るには下記のような方法があります。
●太陽の光を浴びる
セロトニンは目の網膜に光を感じることで活性化されます。
●適度な運動
適度な運動はセロトニンを活性化させます。運動の中でもウォーキングなどの一定のリズムでできる簡単な有酸素運動が効果的でしょう。また、食事の時によく噛んで食べることもセロトニンを活性化させます。
●トリプトファンを含む食材を食べる
トリプトファンとは、セロトニンの材料になる栄養素で、アミノ酸の一種です。体内で作ることができないため、トリプトファンを含んだ食材を意識して摂るとよいでしょう。
豆腐・納豆・味噌などといった大豆製品や、牛乳・チーズ・ヨーグルトといった乳製品に多く含まれています。
●5-ALA
5-ALAを摂取すると、エネルギーの生産を活発化し、細胞や神経細胞が正常化するのに良い影響を与え、セロトニンを増やします。
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睡眠の質を高める方法
睡眠の質を高めるには、まずは生活習慣を見直すことから始めましょう。
●朝起きたら太陽の光を浴びる
朝起きたら太陽の光を浴び、体内時計の周期をリセットさせることが、夜の睡眠をよくすることにつながります。
●寝る前の30分前にはスマートフォンは見ない
睡眠不足の原因となるブルーライトを避けるためにも寝る前の30分前はスマートフォンを見るのを避けましょう。
●日中に適度な運動をする。
適度な運動は良い睡眠につながります。日中に運動をし、睡眠と覚醒のリズムにメリハリをつけましょう。しかし、寝る前に激しい運動をしてしまうと寝付けなるので避けましょう。
●市販薬やサプリメントを上手につかう
眠れないと悩み過ぎることが結果的にストレスになってしまい睡眠不足の原因になりかねません。いろいろ試してもどうしても改善されず悩んだときは、一時的に市販薬やサプリメントを試してみるのもよいでしょう。しかし、一定の時期が経っても改善されない場合には使用を中止し、必要に応じて医療機関を受診することをお勧めします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回、寝付きが悪い原因や、睡眠不足が私たちの身体にもたらす影響を解説し、睡眠の質を高める方法をご紹介しました。
できることから少しずつ試し睡眠不足を改善して、よく眠り、スッキリ目覚めることができたら、きっと一日を心身ともになごやかに過ごすことができるでしょう。ぜひ試してみてください。