エンディングノートは、終活ノートとも呼ばれています。
人生のこれまでを振り返り、またこの先を考える指標をまとめた備忘録のようなものだと考えてください。
と、こんな風に書くととても堅苦しく感じますが、ひとことで言えば「家族へ残すあなたのメッセージ」を記したノートです。
自分の死後に家族が困らないように情報を残し、家族への感謝の言葉や励ましの言葉を書き綴る、そうすることであなた自身の生きてきた道と、これからの生き方も見つめることができます。
さあ、どんなエンディングノートを作りますか?
エンディングノートの選び方と書き方
エンディングノートには、これといった決まったものはありません。
あなたが書きたいことを記入しやすいものなら何でも良いのです。
例えば
- 自分史や履歴を残したい
- 葬儀や相続などの財産について書いておきたい
- 家族へのメッセージをしっかりと残したい
- 終活のヒントやノウハウが知りたい
- とりあえず手軽に書きたい
など、家族へ残したい内容は、人によって様々なように、市販されているエンディングノートのタイプもバラエティーに富んでいます。
書店などでは、終活のコーナーが設けられているところも多いので、実際にいろいろなエンディングノートを見て、あなたに合ったものを探しましょう。
エンディングノートが決まったら、次は何を書くかを決めます。
実は、こちらの方が少し大変。
まずは、一般的に書くべきことがらについて紹介します。
エンディングノートに書く内容とは?
エンディングノートに書いておきたい内容としては、次のようなものがあります。
- 自分に関する基本情報・個人情報
- 財産、資産、デジタル財産について
- 遺言書の有無
- 医療、介護について
- 葬儀、お墓について
- ペットについて
- 残したいメッセージなど
「こうして見ると、書かなければならないことが多すぎて、やる気がなくなりそう…」と思っているあなた。
大丈夫、私もそうでした。
エンディングノートを書くときは、まず書きやすいところから書けばよいのです。
今すぐにでも記入できることを書いて、後は少しずつ進めてください。
なぜなら、エンディングノートに完成はないからです。
あなたが現在60代だとします。
今書いたエンディングノートは、70代になれば内容を変更したくなっているかもしれません。
もちろんいつでも書き換えることに問題はありませんよ。
エンディングノートは、あなたが亡くなるまで、変化し続けるかもしれないものなのです。
今すぐにすべての内容を書ききらなくていいんだと考えてみてください。
ほら、肩の荷が下りたでしょう。
では、書き残しておきたい内容について、具体的に説明しましょう。
自分自身の基本情報と個人情報
基本情報とは次の通りです。
- 生年月日
- 住所、本籍地
- 血液型
- 家族構成
- 学歴、職歴など
本籍地と住所は、死後の事務手続きなどで家族が困ることがないように正確に書いてください。
現住所と本籍地が異なっている場合は、一度しっかりと確認しておきましょう。
個人情報とは
個人情報として書いておきたいのは、
- マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証、パスポート、年金手帳などの保管場所
- 私的年金の有無と種類
- 携帯電話の契約会社、契約者名、支払方法、パスコードなど
- パソコンのブロバイダ名、パスコード、メールアドレス、ホームページのIDやパスワード、SNSのIDやパスワード
- 保険の有無と種類、保険証書の保管場所
- 水道光熱費の契約会社名、契約者名、支払方法
もしもエンディングノートを紛失したとき、または盗難などの被害に遭った時を考えて、マイナンバーや年金手帳の番号、パスワードなどを明記するのは避けてください。
その代わり、パスワードなどをまとめて書いたメモを作って置き、家族にしかわからない場所に保管、その場所を伝えておけば問題ありません。
財産・資産・デジタル財産について
エンディングノートは、遺言書のように法的な強制力はありませんが、遺産相続に限らず、あなたが生きている間の財産管理についての希望も書くことができます。
もしも病気や事故で、自分の希望が家族に伝えられなくなった時のためにも、財産について書いておくほうが良いでしょう。
財産・資産
財産や資産には、金融機関の預貯金の他、不動産や株・投資信託、会員権、骨董品、芸術品、貴金属、ブランドなども含まれます。
金融機関の預貯金については、
- 金融機関名(支店名も)
- 預貯金の種類
- 口座番号
- 通帳や印鑑の保管場所
- 暗証番号
不動産の情報には
- 不動産の種類
- 住所
- 名義
- 不動産を利用者や管理者の連絡先
株・投資信託なら
- 商品の種類
- 取り扱い金融機関
- 確定申告の有無
などの情報がありますが、これらすべてをエンディングノートに書くことはおすすめしません。
万一紛失・盗難に遭った時に備えて、暗証番号や通帳・印鑑の保管場所などは、家族だけにわかるような伝え方をしてください。
同じように不動産などの資産についても、重要事項は家族だけにわかるような保管場所を伝える程度にしておきましょう。
借金・ローンなど
借金や住宅ローンなどについても、その有無と金融機関・残高などを明示しておいた方が良いでしょう。
もし誰かにお金を貸しているのなら、相手の名前と貸している金額、返済方法などについて残しておく必要があります。
デジタル財産
デジタル財産とは、ネット銀行やネット証券などのことです。
ネットを通じた契約は、証券が発行されていないことがほとんどですので、その有無について必ず書いておきましょう。
また、サブスクリプションサービスや様々なネットサービスに加入しているなら、それらの名称を残しておいてください。
不要なサービスも解約しない限り利用料が発生してしまいます。
家族に余計な負担をかけないためにも、きちんと書き残しておきましょう。
ただし、重要なIDやパスワードについては、個人情報と同じように別の用紙などにまとめ、家族だけにわかるような方法で保管することをおすすめします。
遺言書の有無
遺言書があるかどうかについても書いておくと、財産分与の際にトラブルを避けられるかもしれません。
遺言書がある場合は、その保管場所を書いておくことでスムーズに手続きができるでしょう。
- 遺言書の有無
- 遺言書の種類(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)
- 遺言書の保管場所
医療・介護について
今は元気に動けていても、いつかは思い通りに動けなくなる日が来るかもしれません。
そんな日のために、介護が必要になったときにはどうしてほしいのか、また持病があるなら常備薬やかかりつけ医のこと、緊急の連絡先などを書いておきましょう。
具体的には
- 危篤状態や死亡したときの連絡先
- 余命宣告の告知をうけるかどうか
- 延命治療の希望について
- 臓器提供を望むかどうか
- 常備薬の保管場所
- かかりつけ医の住所、連絡先
- アレルギーの有無
- 介護をお願いしたい人
- どこまでの自宅介護を希望するかどうか
- 施設への入居について
- 有れば希望の施設名
などを書いておくと良いでしょう。
自分が重病になったり、要介護になったりということは、今はまだ考えたくないかもしれませんが、人生何があるかわかりません。
いざという時に、家族に精神的な負担をかけないためにも、今時点での希望は書いておくべきだと私は思います。
そして考えが変われば、書き直せばよいのです。
葬儀・お墓について
葬儀やお墓についても、故人の希望がないと、遺族が決めなくてはならず、やはり負担をかけてしまいます。
どんな形であっても、故人の遺志を尊重するなら、家族にとっても気持ちが楽になるはずです。
ですので、今の時点での希望を書いておきましょう。
葬儀についての希望
- 葬儀の規模:一般葬・家族葬・火葬式など
- 一緒に納棺してほしいもの
- 葬儀に流してほしい曲など
- 遺影写真の有無や保管場所
- 連絡してほしい人の名前と連絡先
などが具体的な内容となります。
葬儀の時に遺族がよく困ることの1つが、遺影写真の選択です。
生前に遺影写真を撮っているなら必ずその保管場所を、特に遺影としての写真がないなら、希望する写真を伝えるなどしておきましょう。
生前に遺影写真を撮るのに抵抗があるなら、どこかへお出かけした際に、数枚は自分の写真を撮っておくことをおすすめします。
お墓について
今すでにお墓があるならその場所や菩提寺の住所・連絡先を書いておきましょう。
もしも、新しくお墓を作る予定なら、希望する納骨の方法や納骨場所を伝えておいてください。
生前に契約したお墓があるときは、その住所・連絡先、契約書などの保管場所も忘れずに書いておきましょう。
ペットについて
最近では多くの方がペットを飼っていらっしゃいます。
しかし、もしあなたが先に逝ってしまって、ペットが残されたときのことを考えていますか?
万一の場合に備えて、大切なペットを託せる人を、ぜひ決めておいてください。
書き残しておいた方が良いことは、次の通りです。
- ペットの名前と年齢・性別・種類
- 性格
- ペット保険の有無・証書の保管場所・支払方法
- かかりつけ医の名前・住所・連絡先
- 普段食べているフード・好きなおやつ
- お気に入りのおもちゃ
- 自分の死後、誰に飼って欲しいか
家族へのメッセージ
普段は恥ずかしくて口にできない家族への感謝の言葉や、子供に伝えておきたいこと、自分の生きてきた歴史など、あなたが家族に伝えたい、知っておいて欲しいことならなんでも良いのです。
これが、遺言書とは違った、エンディングノートの大きな特徴です。
今のあなたの気持ち、そしてこれからも増えていくだろうあなたの家族への言葉を、大切に綴ってください。
エンディングノートはいつから書き始める?
ここまでご覧になってくださったあなたは、おそらくすぐにでもエンディングノートを書き始めるつもりになっているかもしれません。
しかし、一般的に何歳くらいから書き始めるものなのでしょうか。
おすすめなのは、節目となる年齢(40歳・50歳・60歳など)に達したときや、子供が生まれたとき、子供が結婚したとき、孫が生まれたとき、定年退職をしたときなどです。
人によっては30代で書き始めたという方もいらっしゃいます。
だから、あなたが思い立った時に始めれば、それで良いと思いますよ。
まとめ
エンディングノートは、人生の終わりを意味するものではなく、一つの区切りとして人生を振り返り、また新しい道を進むためのものだと思います。
家族のために、そして自分のために書くエンディングノート。
それは、前向きな終活を目指す方にとって、とても素敵な思い出と希望が詰まったノートなのです。
これからの生活を一層充実させるためにも、ぜひエンディングノートを書いてみてください。
他にも、50代以降の生活についてまとめた記事「【50代から考える!】60代や70代から始まるひとり暮らしについて」がありますので参考にしてみてください。