60代・70代になって、運転に不安を感じる方も多く、最近は定年になって免許を返納する人が増えています。
高齢者が免許を返納することで事故を起こす心配がなくなりますが、一方で田舎などに住んでいる場合など、車を手放すと移動手段に困ることもあります。
免許を返納するとどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?また、免許を返納した後はどのような移動手段があるのでしょうか?
今回は、免許を返納するメリット・デメリットと、免許を返納した後の移動手段や生活に便利なサービスなどを紹介します。
60代70代で免許返納が増えている理由とは
最近60代70代で、免許を返納する人が増えています。
免許の返納を考えた理由を、調査した結果が出ています。
「運転ミスによる交通事故のニュースを見たから」という回答が1位です。
高齢になると、とっさの判断が遅れるため不安になる人が多いですね。
「視力が衰えて夜間の運転が怖い」という方もいます。
政府の広報オンラインでは、次のようなことが増えれば運転について考えたり家族と話し合う時期だと言われています。
- 左右のウインカーを間違える・出し忘れする
- 車・歩行者に注意が向かないことがある
- スムーズにカーブが曲がれないことがある
- 車庫入れで壁をこすることが増えた
- 標識や信号無視の経験
- 右折や左折時に歩行者や車を見落とす
(引用:運転が不安になってきたシニアドライバーやそのご家族へ運転免許証の「自主返納」について考えてみませんか?|政府広報オンライン)
高齢者自身が運転は大丈夫だと思っていても、家族から運転が心配で返納を勧められるケースもあります。
運転免許を返納するメリットは?
免許を返納すると一体どのようなメリットがあるのでしょうか? 下記のような点があげられます。
- 車の維持費がかからなくなる。
免許を返納する最大のメリットは、車の維持費がかからなくなることです。
車は、毎年の重量税・2年に1度の車検・保険・ガソリン代が必要です。
定年後は、車の維持費が負担になることが多いのではないでしょうか?
車を手放すことで、普通車なら平均10万以上の節約になるでしょう。
- 自治体などで割引や特典を受けられるようになる。
自治体によって、サービスの内容が違いますが、買い物やタクシーの割引や割引が受けられるようになります。
自治体などによって違いがあるので、自治体のホームページをチェックしましょう。
- 事故を起こす心配がなくなる。
免許返納が気になるのは、高齢者だけではありません。交通事故の不安から、「親の運転免許を返納させたい」というお子さんも多いです。
高齢者が免許を返納することで、自分自身事故を起こす不安がなくなるだけでなく、お子さんやご家族が安心できるでしょう。
運転免許を返納するデメリットは?
免許を返納するメリットをお伝えしましたが、次は免許を返納するデメリットについてご紹介します。デメリットにはついては下記のような点があります。
- 移動に時間がかかる。
車があれば好きな時に、行きたい場所に移動することができますが、免許を返納するとバスや電車を利用することになるので、目的地に行くまでに待ち時間や乗り換えをする必要があります。
田舎でバスや電車の便が少ない場合は、気楽に出かけることができなくなるでしょう。
- 買い物やおでかけが、不便・面倒になる。
近所にスーパーやコンビニがあればいいですが、無ければとても不便に感じます。移動に時間がかかると面倒に感じてしまいます。
また、近くに子供が住んでいても、忙しい子供にいつも買い物を頼むのは避けたいのではないでしょうか。家族に負担をかけてしまうことから、外出する機会を減らしてしまう可能性もあります。
免許を返納するのに、交通アクセスがよい都市部への住み替えを検討している方は「便利な都会へのお引越し!?老後を快適に過ごすための50代からの住み替え」の記事で、シニア世代が定年後に快適に暮らすための家の選び方について紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
- 身分証のひとつがなくなってしまう。
自分の身分を証明するものとして、顔写真がついている運転免許証を利用している方は多いのではないのでしょうか?その身分証のうちの一つがなくなってしまうのは少し不安に感じるかもしれません。
運転免許を返納するデメリットはいろいろありますが、あらかじめ移動手段や生活に役立つ便利なサービスなどを知っておくことで、免許返納後の生活に役立てることができます。
運転免許返納後の移動手段【メリット・デメリット比較】
ここでは、免許を返納した後の移動手段についてと、その移動手段のメリットとデメリットを紹介します。
公共交通機関(バス・電車)
- メリット
公共交通機関(バス・電車)の利用は、移動にかかる費用が車の維持費と比べて安いです。定年後に年金暮らしになっても、安い費用で移動ができるので安心です。
また、乗り換えなどもすれば、遠いところまで行けることもメリットでしょう。
- デメリット
地方では、バスや電車の本数が少ないので好きな時間に移動できないのがデメリットです。
都市部では、朝や夕方のラッシュ時に混雑します。そのため、座って移動したい場合はラッシュを避けることが必要です。
また、目的地に駅やバス停がなければ長時間歩くことになります。暑いときや体調が悪いときに、長時間歩くのはしんどいでしょう。
タクシー
- メリット
タクシーは目的地まで座って移動できるので、歩く時間を気にしなくてもいいのがメリットです。
好きな時間に出かけられるので、電車やバスのように時間を気にする必要がありません。定年後は、タクシーで買い物に行く高齢者もいます。
- デメリット
タクシーのデメリットは、電車やバスと比べると料金が高いことです。
頻繁にタクシーを利用していては、車の維持費以上に経費がかかります。タクシーで買い物に行く場合、待っていてもらうと待機料金もプラスされます。 そのため1度料金を払って、買い物が終わったらタクシーを呼ぶという方法がおすすめです。
家族などによる送迎
- メリット
家族などに送迎してもらうことは、車での移動になるので今までと変わりなく好きな時に、行きたい場所に移動することができます。またタクシーのように料金を気にすることがありません。
- デメリット
デメリットとしては、家族に負担がかかってしまうことです。また、家族の都合のいい時間帯と自分の行動したい時間が異なることもあるでしょう。また、家族が遠方に住んでいるケースでは難しいでしょう。
徒歩
- メリット
徒歩の最大のメリットは、必然的に運動量が増え健康にもよいということです。また、自分の好きな時に行きたいところに行けるので自由に行動できます。
- デメリット
デメリットは、やはり、徒歩で行ける範囲は限られてしまうことと、時間がかかってしまうことです。
手段のひとつとして、老人ホームに入居するという方法もあります。サポート体制が整っているためとてもいい環境にはなりますが、入居する料金がかかってしまうため、最終的な手段の一つとして考えておくといいかもしれません。
免許返納後の生活に便利なサービス
ここからは、免許を返納した後の生活に役立つ便利なサービスにをご紹介します。
タクシー事業者による割引制度
地方では、公共交通が不便な地域が多いです。
そのため、タクシー利用の際の割引制度が人気。 さらに、一定金額のチケットを配布してくれる自治体もあります。
公共交通機関の割引制度
免許返納後は、公共機関の割引制度があるので便利です。
路線バスの運賃や乗り放題の定期券の購入が、割引になります。
コミュニティバス
コミュニティバスは自治体が中心となって、路線バス以外の地域をマイクロバスで走っています。
バス会社が路線を廃止した場合、高齢者は困ります。
コミュニティバスのメリットは、利用者の要望に応じて路線変更ができることです。
料金は安く抑えられていて、100円から200円程度になります。
免許を返納した高齢者は、無料でコミュニティバスが利用できる自治体もあります。
移動式スーパー
家から買い物に行くのが困難であったり、免許を返納した人に人気なのが移動式スーパーです。
利用者からは、
「食料品や日用品の買い物ができるのでうれしい」
「バスが1時間に1本しかないので助かっている」
との声が聞かれます。
スーパーの宅配サービス
大手のスーパーでも、食料品の宅配サービスを実施しています。
インターネットだけでなく、紙で申し込みができる店もあります。 免許返納で宅配料が無料になることがあるので、自治体のページをチェックしましょう。
免許返納をする方法
免許を返納するには、どのような手続きが必要でしょうか?
免許返納の場所、持ち物
免許返納は、運転免許センター・警察署でできます。
持ち物は、運転免許証だけでokです。
紛失している場合は、住民票を用意する必要があります。
免許返納ができない人は?
運転免許証の停止・取り消しの行政処分中の人は、免許返納ができません。
代理人申請
本人が病気で警察に行けない場合は、代理人の申請も可能です。
代理人の範囲は、配偶者・同居の親族・2親等以内の親族になります。
友人や会社の人は、代理人になれないので注意しましょう。
代理人申請の場合は、本人に電話で確認をします。
運転経歴証明書とは
運転経歴証明書とは、免許の取り消しを申し出た日から5年間の運転経歴を証明するものです。
大きさは、運転免許証と同じになります。
運転経歴証明書は、運転経歴を証明するものですが、本人確認書類としても利用することができます。平成24年4月1日以降に交付された運転経歴証明書であれば、運転免許証の代わりなる公的な本人確認書類として、利用することができます。
運転経歴証明書が必要な場合は、申請書・申請用写真・手数料が必要です。
また、身分証明書として使いたい場合は、事前に使えるかどうか確認しておきましょう。
免許を返納した人の体験談
免許を返納した人の声を少しご紹介します。参考にしてみてくださいね。
夫の定年後車を2台から1台に(65歳 女性) |
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夫の定年後、通勤に車が必要なくなったので車を2台から1台にしました。 税金や保険の負担がないので、生活費に余裕ができました。 これから、物価が高騰するので年金暮らしはきつくなります。 でも、孫にはお小遣いをあげたいと思っているので節約したいですね。 |
タクシーに乗っても得だとわかった(70歳 男性) |
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免許を返納するまでは、出かけるのに困ると思っていました。 いろいろなことを考えて、車を手放しました。 週に2回タクシーに乗っても、車の維持費より経費は安いです。 タクシーで遊びに行くのはもったいないと思っていましたが、車の方がぜいたくです。 |
便利がいい場所に住み替えも(71歳 女性) |
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免許を返納した後は、家にいることが多くなりました。 私は趣味で公民館の講座に参加していましたが、車がないと不便。 庭の手入れや家のメンテナンスを考えて、便利のいい場所の住み替えも検討しています。 私が住んでいる駅から総合病院にコミュニティバスが出ているので、駅前は気になりますね。 |
車に頼りがちだったことがわかった(62歳 男性) |
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車を運転したときは、車に頼りがちでした。 歩いて行ける距離でも、暑いと車を利用していたのです。 それで、運動不足になっていたのだなあと思います。 今は車を手放して、できるだけ自転車で買い物に行っています。 渋滞や駐車場でイライラすることもなく、過ごしています。 |
まとめ
今回は、60代70代の方の自動車免許の返納した後の生活や移動手段について紹介しました。
免許を返納することで、外出するときにはタクシーや公共機関を利用することになります。
駅やバス停まで歩くので、運動不足の解消になるでしょう。
車の維持費を考えたら、タクシーを利用する方が安い場合もあります。
免許の返納で、割引サービスがある店舗も多いです。
一度、どんなサービスがあるか自治体のホームページでチェックしておきましょう。
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